● レビー小体型認知症とは
アルツハイマー型・脳血管性認知症と
並んで多い認知症
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症と並んで日本では3大認知症といわれています。このレビー小体型認知症を提唱したのは日本人の医学博士で、レビー小体型認知症に関するテレビのコマーシャルも流れたことがあります。異常なタンパク質が大脳に溜まるとレビー小体型認知症、脳の下から首の当たりにある脳幹に溜まるとパーキンソン病という分類になっています。そのため、体を動かす中でパーキンソン病のような症状が出やすいといわれます。高齢になると転倒が増える傾向がありますが、レビー小体型認知症ではパーキンソン病のような歩行困難が出ると骨折などから寝たきりになるリスクの高さも指摘されています。
レビー小体型認知症では、初期症状として幻視・幻聴といった特徴的な症状が見られることがあります。一般的にイメージする幻視とは違って、本人にはとてもリアルに見えているようです。
「人が家に入ってくる」とか「枕元に子どもが座っている」と幻視が見えるようで、あまりの恐怖で警察や救急に電話をかけてしまう方もいます。
また、感情のコントロールが難しく、「静かにしていると思ったら急に激怒し始めた」と気分が大きく変動するのも特徴的です。 認知症は物忘れから始まるイメージが強いと思いますが、レビー小体型認知症では必ず物忘れの症状から始まるとは限りません。運動面での問題・精神面などの問題が多様なので、誤診されることもある認知症です。
レビー小体型認知症が発症する原因
レビー小体というのは、脳に溜まる異常なタンパク質のことで脳につく小さな塊のことをいいます。このレビー小体はαシヌクレインで出来ています。パーキンソン病の患者からは見つかっていたのですが、認知症の患者からも見つかって、レビー小体型認知症と分類されるようになりました。また画像検査(脳血流シンチグラフィー)をすると、後頭部(視覚を担当している領域)での血行不良を認めることがあります(幻視との関係が指摘されている)。 遺伝に関しては、今のところの研究では親から遺伝する確率は低いといわれていますが、ないとも断言できないのが現状です。
レビー小体型認知症の治療法
レビー小体型認知症で問題になるαシヌクレインがどうして溜まるのかという原因がはっきり解明されていないので、予防法や根治的治療は難しいとされています。
現状では、早期発見し、内服薬(進行を遅らせるとされている)による治療が主だと思って良いでしょう。レビー小体型認知症では、特異的ではありませんが、初期に老人性うつのような症状が見られることもあります。抗精神薬に対して過敏反応をする特徴があるため、診断、投薬には十分な注意が必要です。またパーキンソン症候群を認めるケースもありますが、抗精神病薬を不注意に投与すれば、その症状を悪化させてしまいます。
レビー小体型認知症の患者様との関わり方
レビー小体型認知症で、幻視の症状が出ると周囲の人に見える訳ではないのですが「そんなものいるはずがない」「気のせいだ」と否定すると、本人の不安感を大きくしますので、十分に話を聞くことを心がけましょう。夕方や夜間など暗い時間帯に幻視が出やすいため、照明で部屋を明るくするなどの工夫もあった方が良いと思います。また睡眠時の異常行動も認めることがあります。そういった場合、同居家族の良好な睡眠環境の確保も、必要になるでしょう。
パーキンソン症状が強くなると家の中の段差でつまずくリスクが高くなるので、居住環境を見直すこともあります。大がかりなバリアフリーにしなくても、ご家庭でできる工夫があると思いますので、医師や看護師などにも相談してみてはいかがでしょうか。
感情の起伏が激しくなったり、幻視で大騒ぎをすることが続くと、同居家族もストレスが溜まるのではないかと思います。とはいえ、他の認知症と同様に、受容的・支持的な対応が必要です。ご家族自身も十分なストレスコーピングを心掛けましょう。また、普段の過ごし方や、いつ・どんな症状があったのかを記録しておくと、医師に相談しやすく早めに治療を始められるかもしれません。本人がどうしても病院に行きたがらない場合は、誰かに預けるなどしてご家族が病院などに相談する方法も選択肢として考えてみましょう。