● アルツハイマー型認知症とは
認知症の中でも、
診断される頻度が高い疾患です
65歳以上の方に多いのがアルツハイマー型認知症ですが、64歳以下の方にも若年性アルツハイマー型認知症を発症する可能性があります。高齢者と比べて進行が早く重症化しやすいといわれています。若年性アルツハイマー型認知症では、仕事をしている現役の方も多いので、早期発見・早期治療を始めることが重要になります。
物忘れでは、昔のことは覚えているのに最近のことは覚えていないとか新しいことは覚えにくい傾向があります。進行していくと家族の顔がわからなくなる人もいるほどです。
自分で着替えることが苦手になったり、食事でも食べ方が変わるなどの変化が目立つようになります。また時として暴力的な行動が増えたり、配偶者が浮気をしていると嫉妬妄想をするなど、様々な変化が出ます。このように言葉の理解が困難となったり、徐々にそれまで出来ていた行動が出来なくなったりと、日常生活上の支障を来します。そのため家族などの介助(サポート)を受けて生活する必要があります。
アルツハイマー型認知症が発症する原因
認知症でも治療者が多いアルツハイマー型認知症は、かなり多くの機関で研究が進められています。
原因は、はっきりと解明されていませんが、脳の中でタウというタンパク質が変化をもたらして正常な機能ができなくなるのではないかといわれています。
脳の中ではニューロンが活躍することで、脳の中の連携がうまくいくように働いているのですが、タウというタンパク質が溜まって、ニューロンの働きが鈍くなります。
徐々に、脳の中で記憶を担当している海馬という部分にも影響が出たり、脳全体の萎縮が進みます。
アルツハイマー型認知症の治療法
アルツハイマー型認知症は、難しい言葉で不可逆性を持つといわれます。これは、前の状態に逆行して戻ることが難しいということです。アルツハイマー型認知症を発症してから、前の状態まで治療するのは、今は難しいと考えて良いでしょう。
ゆっくりと状態が進行する特徴を持っているので、更に進行を抑えるための薬が開発されています。早期に発見できれば、それだけ進行を遅らせることができると考えられています。発症する前に生活習慣を改善するのも大切なことです。例えば、過度にアルコールを摂取していると、脳に問題が出る可能性を高めます。男性はアルコール摂取が500kg、女性は200kgを越えたところから脳の問題が出やすいと言われています。ビール中瓶1本500mlでアルコールが20gと換算できます。また近年、心疾患、脳卒中、高血圧、糖尿病および肥満など血管および代謝に関する症状との関連性に大きな関心が寄せられています。
つまり、発症前なら予防策としての生活習慣の改善、発症後は進行を遅らせる薬で治療することが多いといえます。
アルツハイマー型認知症の患者さんとの関わり方
進行に伴い、妄想や鬱状態といった精神症状、人格変化などを認めるようになると、家族間の人間関係にも支障が出ることがあります。 家族がアルツハイマー型認知症になった場合は、適切な介護サービスの利用も検討しながら、一人で抱え込まない環境が必要になるでしょう。
尚、人によって出現する精神症状や異常行動は一様ではありません。それぞれの症状に関して、よく医師と相談して対応を考えてください。また、初期の症状として、普段の食事の用意の段取りが悪くなった、同じメニューが増えた、慣れた車の運転をしていても道に迷う、目的地にたどり着くのにかなり時間がかかるようになった、いつも保管している場所以外に判子がある、若しくは見当たらず探し回ることが増えたなど様々なケースがあります。
「色々なことが出来なくなっていく自分」に落ち込みや苛立ちを感じる方も当然おられます。出来ないことを責めたり、過干渉は避けるようにしましょう。出来る限り受容的・支持的に対応されるのがよいでしょう。また出来ていること(趣味や家事など日常生活動作全般)は少しでも長く続けられる様に工夫をしましょう。