● 脳血管性認知症とは
原因は脳梗塞や脳出血といった脳血管障害
生活習慣の見直しを
脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症と少し似ていますが、症状が階段状に進行したり、動揺する傾向を持っています。脳梗塞や脳出血といった脳血管障害が原因であるため、予防しやすい認知症だと考えて良いでしょう。多くは60歳以降で、女性より男性に多い認知症です。 物忘れ、感情失禁、歩くとつまづく、食事中に飲み込むのが苦手になって咳き込む、知っているはずの言葉を発することが出来なくなるといった症状から始まります。特徴を理解して周囲で気をつけていた方が良いでしょう。
高血圧・糖尿病・高コレステロール・膠原病・痛風などの持病があり、血液が固まりやすい傾向があれば、脳血管性認知症になる可能性は高くなるといえます。尚、症状が進行していくとアルツハイマー型を併発することもあります。持病に合わせて生活習慣の見直しを行い、定期的に健康診断を受けるなど心掛けてください。
脳血管性認知症が発症する原因
脳血管性認知症の主な原因は脳梗塞といわれています。脳は酸素が足りなくなることで神経細胞が壊れてしまいます(太い血管が詰まると症状の進行が早く、また重篤になり易く、細い血管が詰まると症状の進行は遅い傾向があります。また梗塞部位によって症状の差が生じます)。血管が詰まり易くなる要因としては、高血圧や糖尿病、高脂血症などが挙げられ、脂っこい食事が多い、飲酒・喫煙、不規則な生活習慣がその原因となります。
脳血管性認知症の治療法
現在のところ、脳血管性認知症の記憶障害やその他の認知機能障害を改善させる確実な方法はなく、再発予防や対症療法が中心となります。基礎疾患のコントロールを行ったり、感情失禁や精神運動興奮に対しては、気持ちを抑える薬も使用したりといった具合です。 血管の梗塞が再発すると、脳血管性認知症が悪化する可能性があるので、生活習慣の改善や薬を飲みながら梗塞を予防する治療も行います。また、歩くことが難しくなったり、うまく話せない状態になった場合は、リハビリテーションなども検討すると良いでしょう。
脳血管性認知症の患者さんとの関わり方
脳血管性認知症の患者さんの中には、悲観的な気持ちになって不安感を抱えてしまう方がいます。周囲の方も見守ってあげて下さい。言葉をかけなくても一緒にいることで安心感が生まれることもあるでしょう。出来ないことが増えてくると、「誰かがやってくれるからいい」と投げやりな気持ちになる方もいます。依存的になって更に物事が出来なくなるといった悪循環が生じることもあります。無理強いをしない範囲で、何かをする楽しさを共有することも心がけて下さい。嫌がっていることを無理にさせようとすると、意地になって「絶対にやらない!」と頑なになる方もいますので、接し方は難しいかも知れません。注意力が散漫になっている方には、怪我をしないように注意しましょう。まれに夕暮れ症候群といって夕方になると「家に帰る」と言い始める症状もあります。この時も「ここが家だ」と無理に引き留めずに、まず言い分を聞いてから、一緒に近所を歩いて家に戻るなど、本人が落ち着くように工夫をしてみましょう。全ての認知症に言えることですが、本来その方がもっておられる性格にも十分に配慮して、敬意を忘れないようにしましょう。